毎年6月の第2週は危険物安全週間です
<今年2020年は6月7日㈰から13日㈯まで>
例年なら危険物施設での火災や事故の防止をアピールするため各地でイベントが実施されるところですが、今年は新型コロナウィルスの影響によって消防演習等多くの人が集まるイベントは軒並み中止となってしまいまいした。
でも、気温が上がり始めるこの時期は、気化した石油類等への引火や危険物が発火する事故が起こる危険があることに変わりはありません。
皆さんの身の回りにもある危険物、取扱いには十分注意し事故や災害を起こさないように努めましょう。
全国テーマ
「訓練で 確かな信頼 積み重ね」
総務省消防庁や全国危険物安全協会が全国に向けて推進をしています。
市民だけでなく事業者にも広く安全を呼び掛けるため、標語やポスターの内容も市民向けというより、事業者向けのイメージがあります。
東京消防庁の標語やポスター「危険物 しっかりまもろう 使い方」から
くらしの中での危険物安全についてを紹介していきます。
皆さんは危険物と聞いて何を思い浮かべますか?
ちなみに我が家の高校生は、ウイルス、洗濯機、爆弾、ダイナマイト・・・(◎_◎;)
私たちの周りにはガソリンだけでなく、消毒用アルコールやスプレーなどさまざまな危険物があります。
暮らしの中の危険物は、安全に使うための工夫がされていますが、
使い方を誤ったり不注意によっては火災や爆発を起こしてしまうものもあります。
その安全な使い方について、一つ一つ確認していきましょう。
ガソリン
危険物安全週間を前にガソリンのルールについて知り合いに色々聞いてみてわかったのは、知らない人がほとんど。
職業のおかげもありますが、知ってて当たり前だと思っていた自分の方が実は少数派でした。
ガソリンやガソリンスタンドの規制など専門的な話は後日、ということで安全週間での話題はガソリン携行缶に絞ります。
6つのポイント
ガソリン携行缶を安全に使うためのポイントが危険物保安技術協会から紹介されています。
①危険性について
ガソリンは-40℃でも気化し、小さな火源でも、離れていても引火し爆発的に燃焼する物質です。
保管は換気の良い直射日光の当たらない場所を選びましょう。
②容器について
灯油ポリエチレン缶にガソリンを入れることは非常に危険です。
書房法に適用したガソリン専用の金属容器を使い、一台の車に積載できるのは22Lまでです。
③購入について
セルフスタントでは利用者が自らガソリンを入れることはできません。
必ずスタッフにガソリンの詰め替え販売を依頼していください。
④保管について
ガソリンを容器に入れて、長期間または不必要に保管することは極力控えてください。
その時に使う分だけ購入し、なるべく使い切るようにしましょう。
⑤噴出事故防止について
ガソリン噴出は事故につながります、取り扱いには十分注意してください。
キャップはエア抜ききちんとしてから明けましょう。
⑥取り扱いについて
使用時には取扱説明書をよく読み適正な取り扱いをしてください。
ノズルやパッキンの不具合でガソリンがこぼれて引火につながることもあります。
使用時の注意
2013年8月15日、福知山の花火大会会場でガソリン携行缶から噴き出したガソリンが引火、爆発を起こし3名が死亡、59名が負傷するという火災が発生しました。
これ以降、ガソリン携行缶ユーザーに対してより強い注意を促すための容器へのシール貼付を義務付け、イベント等に出店する露店やキッチンカーの防火管理対策がに対する消防署の指導も強化されています。
ユーザーに対して強い注意を促すための5項目
★ ガソリンの噴出に注意する
★ 周囲の安全を確認する
★ フタを開ける前にエンジンを停止する
★ フタを開ける前にエア抜きをする
★ 直射日光のあたる場所や高温の場所で保管はしない
ガソリン購入時の法改正
2019年7月18日、36人もの方が亡くなり、被疑者を含む34人が負傷した京都アニメーションの放火爆発火災では、携行缶に入ったガソリンが凶器として使われたことから、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(令和元年総務省令第67号)が公布され令和2年2月1日から施行されました。
主な改正点は
①本人確認
詰め替え購入時には免許証、パスポートなどで本人確認を行う。
会員証等の所持、継続的な取引がある場合には本人確認を省略できる場合もある。
②使用目的の確認
購入した店舗側から購入者に使用目的を確認する。
③販売記録の作成
販売店は詰め替え販売ごとに、販売日、購入者の氏名及び確認方法、使用目的、販売数量を記録しなくてはならない。
最近のキャンプブームや防災意識の高まりから、ガソリン等の危険物を個人で保管する方が増えています。
ガソリン等の危険物は爆発火災を起こす危険性があるということを十分に理解した上で購入、使用してください。
また、保管が長期とならないよう購入は毎回使う分だけにすることを心がけましょう
スプレー缶
2018年12月16日に札幌市豊平区で発生したガス爆発火災、2019年7月6日に大阪府高槻市で2人が死亡2人が重症となったガス爆発火災はともに廃棄となったスプレー缶に穴をあけてガス抜き作業をしている最中に発生しました。
中身の残ったスプレー缶に穴をあけて処分する方法は噴出した可燃性ガスが周りの火源に引火する危険が非常に高く、日本エアゾール協会では必ず中身を使い切ってからごみ(資源)に出すことを推奨しています。
充填されていた可燃性ガスは危険物の範囲には入りませんがカラースプレーなど内容物に危険物が含まれているものも多く可燃性ガスとともに引火の危険を高めます。
どうしても穴をあけてガスを使い切る際は、火気のない通気性の良い屋外で残存ガスが無くなるまで噴射しましょう。
消毒用アルコール
消毒用アルコールは火気により引火しやすく、また、消毒用アルコールから発生する可燃性蒸気は空気より重く低所に滞留しやすいため、多量に取り扱う場合には換気が必要です。
取扱い時の注意点
★火の近くで使用しない
★詰め替え時の火気厳禁と換気
★直射日光を当てない
★炎の色は青白く屋外では見えにく
危険物安全週間とは
「危険物安全の日」
東京消防庁では、自然発火の多かったセルロイド類の危険物を安全に扱い災害を防止するため、1963年から6月20日を「危険物安全の日」としていました。
セルロイドは19世紀終わりに発明されたプラスチックの原料で、20世紀半ばまで多くのプラスチック製品の製作に使用されていました。
消防法第10条の別表第一で第5類危険物(自己反応性物質)として規制対象物に指定されていて、可燃性が極めて高く(170℃で自然発火)現在はその使用は激減しています。
アニメで使用する「セル画」もかつてはセルロイドを使っていました。アニメ制作には欠かせないスライドシートがセルロイド製だったためこの名前で呼ばれ、1950年代以降には別の素材が使われるようになりましたが今もこの名で呼ばれています。
勝島倉庫火災
1964(S39)年7月14日21時55分頃、品川区勝島にあった(株)宝組勝島倉庫の倉庫近くの空地に野積みにしてあったドラム缶入りの硝化綿から出火し、その後、無許可で貯蔵されていた硝化綿、アセトン、アルコール類などに次々と引火し化学車を含む多くの消防車が現場に投入された火災です。
消火活動開始から約1時間後の午後10時55分ころ、別の倉庫に貯蔵されていた、メチルエチルケトンパーオキサイド(商品名パーメックN)類が大爆発を起こし、大音響とともに100メートルを超える巨大な火柱と原子爆弾を思わせるようなキノコ雲があがりました。
この二次爆発によって、消防活動に従事していた消防職員18名、消防団員1名がガレキの下敷きになるなどで生命を奪われ、また消防職員・団員など117名が重軽傷を負うという、わが国消防史上まれにみる大惨禍が発生しました。
この火災を契機に、「危険物安全の日」は1965年からは火災が発生した7月14日に改められ、1970年まで継続していました。
1970年で終了した理由はいくつかあるようですが、製品の性能の向上とともに、原料の需要が減っていったことが大きな理由ではないでしょうか。
危険物安全週間の制定
1990年、総務省消防庁は気温の上昇による危険物の発火や、危険物から発生するベーパー(蒸気)への引火など、身の回りの危険物品に関する知識の普及啓発及び各事業所における自主保安体制の確立を図ることを目的に、毎年6月の第2週を「危険物安全週間」と定め、危険物の保安に対する意識の高揚及び啓発を全国的に推進しています。
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